公認会計士試験の勉強をしていると,範囲が多いため,どのようにバランスを取って勉強すればいいのかが難しい。
基本的な問題をしっかり得点できれば合格できる
人ができるような問題を必ずとれるようにすれば合格できる
上記のようなことはわかるのだが,うまく実践できないという人も多いのではないか。
ではどうすればバランスがうまく取れ,本番の試験において最高のパフォーマンスを出せるのか。
たとえば,以下のような状況を考えてほしい。
やりたいことが10個ある。
一つ一つを完璧にするには,2の時間がかかる
一つ一つを7割の完成度にするには1の時間で済む。
つまり,7割から10割の完璧にするまでに1の時間がかかると仮定する。
その場合,持ち時間が20あれば,すべてを完璧にすることができ,そんなに悩むことはないと思う。
ここで,資格試験等の場合以下のような状況になる。
やりたいことが15個ある。
しかし,持ち時間は20しかない。
つまり,すべてを完璧にすることはできないので,その中で,どうバランスを取れば最高のパフォーマンスを出せるのかということになる。
この時に,一つ一つを完璧にしなければ気が済まない人は,
10個の論点に20の時間をかけて完璧にするが,5個の論点に手が回らない状況になってしまう。
この状況は,バランスが悪く,点数の期待値が大きく下がってしまう。
対して,望ましい状態は,
すべての論点をまず,15の時間を費やし,70%の完成度にしてしまう。
そのうえで,重要性の高い5つ論点について,100%を目指すようにする。
たとえば,簿記でいえば,組織再編・連結会計・金融商品会計・税効果会計・退職給付会計などの重要な論点。
こうすることで,
前者の期待値が 10 なのに対し,後者の期待値は,12となる
前者:10論点×1+5論点×ゼロ=10
後者:5論点×1+10論点×0.7=12
なんでも完璧を目指す人は,前者の状況に陥り,理想と現状のギャップに悩んでしまう。
バランスが崩れている人は,程度の差はあれ,上記のことが当てはまる。
また,バランスの悪い人は,本当にどうでもいい箇所についても,気になったことにどこまでも時間を使ってしまう。
合格するという目的から逸脱してしまう。
対して,もともとすべてを完璧にすることは不可能であることを理解し,目的のためにベストを尽くせる人は,当然に後者を選択することができる。
点数をとれるためにを意識し,バランスを取ることができる。
そのうえで,
最終目的から常に行動を落とし込む
重要性の判断をしっかりする
科目間のバランスを取る
定期的な実力の維持の時間を取る
ことを意識していく。
これは,仕事にも通ずることであると思う。
仕事において,やったほうがいいことは無限にある。
その中で,時間・人員・予算・外部環境等の様々な要因や制約条件を分析し,
どうすれば,最大のパフォーマンスをできるかを考え,決定し,実行できる人が,
『仕事のできる人』
社会に出ると,バランスは非常に大切になる。
私は,公認会計士試験も,専門知識を習得するだけでなく,このバランス感覚を養ういい機会だと思っている。
だからこそ,勉強している人には,
最終的に本番の試験で最高のパフォーマンスを出すためにという目的から落とし込み,うまくバランスをとれるようにしてほしい。
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公認会計士に関する勉強方法や合格後の各キャリアの魅力など,色々書いていますので,勉強中の方も,これから学習を検討している方も,
是非読んでもらえればと思います。
理解とは
資格の受験勉強をしていると『理解』と『暗記』のバランスに悩むことが多い。
たしかに,最終的には暗記をしなければ点数を取ることは難しい。
しかし,その前提として理解をしっかりと行えていない場合,勉強の効率が非常に悪くなる。
理解するメリットは,
① 理解することにより,忘れづらくなるため,暗記する量が減少し,また反復回数を減らすことが可能になること
② 理解しているため,問題を解く際にミスが減ること
③ 初めて見る問題や応用問題に対する対応力が上昇すること
このように,理解することにはメリットが多くある。
なかなか成果が上がらない人は,この理解をおろそかにしている。
その原因は,以下の2つが代表的である。
1.大学受験の勉強方法の成功体験が邪魔をしている。
2.理解というものが抽象的で,理解の意味をしっかりと把握していない。
1.大学受験の勉強方法の成功体験が邪魔をしている。
これは,文系学部の人に多くあてはまるのだが,英語・歴史等の科目と実務的な科目は根本的に勉強方法が異なることを認識することが大切。
大学受験で多くの方が経験する英語や歴史は,正直暗記的要素の強い詰込み型の科目である。そのため,直前に詰込み乗り越えた成功体験を持っている方が多い。
しかし,実務的な科目は,論理的背景をしっかり押さえるというまったく別の作業が必要になる。
この論理的背景を押さえることが理解。
理解は,講義とその後の復習で一気に習得することが必要なのだが,大学受験の成功体験により,あとで何とか詰め込めばという誤解が大きな失敗を生む。
その結果,理解をおろそかにし,直前に詰め込むことでは対応不能に陥ってしまう。
2.理解というものが抽象的で,理解の意味をしっかりと把握していない。
では,理解とは何か。
これは,論点ごとに,論理的背景からしっかりと把握すること。
つまり,『自分の言葉で論点を説明できること』である。
そのため,以下の順序で理解することが必要。
① 全体像の論理的背景
② 各論点の論理的背景(全体像とのつながりを意識することが大切)
③ 各論点の具体的処理(問題の解き方)
この時に,どうしても③に意識がいってしまい,①・②が疎かになっていることが多い。
そのため,常に,全体像の論理的背景から考える習慣を大切にしてほしい。
そのためのおすすめの作業が,
① 他人に説明できるかを確認する(実際に説明しなくてはいいが,説明できるかを意識して復習する)
② 答案練習を受けることで,習得できているのかをチェックする
こと。
理解という言葉が,どうしても抽象的になってしまい,正しくとらえることが難しいからこそ,上記2つの作業を行い,確認するようにしてほしい。
一人でも多くの人が,正しい勉強方法により,効率的に成果を得れることを願っています!
勉強の成果は質×量で決まる!
勉強の成果は,質(やり方)と量(時間)の掛け算で決まる!
質と量を5段階(5が一番良い)に分けたとすると
15以上ぐらいを目指すといいと思う。
5×5 5×4 5×3 4×4 3×5 4×5 であれば,大抵合格できる。
では,どうやって質と量を判断すればいいのか?
ここが難しい。
私が学生の方によくする例え話を紹介する。
東京-大阪の距離が450㎞であったとする。
これを歩いて1カ月で到着するというミッションを与えられた。
その場合,1日15㎞で正しい方角に進めば,到達できる。
この時に,速度計と方位磁針を持っていき,毎日チェックしながら進むはずである。
この例は,質(方向)と量(スピード)が明確なので問題がない。
しかし,受験勉強や仕事になると質と量が明確にわからないので,悩むのである。
ではそこに対して,みなさんはどのように勉強すればいいのか。
まず,量であるが,最低3回は反復することが一般論としていえる。
これは,テキストの読み直し・問題集の解き直し・答練の解き直しを3回転することである。
人間の脳は,情報を受け取ると短期的記憶として一旦とらえる。
そして,生きていくために本当に必要な情報のみ長期的記憶として認識し,忘れないようにする。
逆を言うと,生きていくために本当に必要な情報以外は,忘れるようにできている。
日々,様々な情報が入ってくるため,必要な情報以外忘れていかないと,脳の容量がいっぱいになってしまうため。
そのため,最低3回は反復し,脳に『これは長期的記憶に入れてくださいとお願いする』ことが必要。
酔っ払いで千鳥足になっている人が,自宅には帰れるのは,自宅への帰宅ルートが長期的記憶にインプットされているためである(笑)。彼らは,どんなに記憶を失おうとも不思議と自宅に帰還している。
大抵,成果が上がらない人は,この量が足りていないことが多い。私の経験でも,成果が上がらない人の原因の80%程度は,この絶対的量の不足に起因している。
なぜなら,量をやっていて,結果が伴わなければ,質はどんどん改善される。
しかし,量が足りない場合には,いつまでたっても質の改善が進まないという状況になってしまう。
量が足りていない人は,1日5㎞や10㎞で進んでいるのに,大阪に1カ月で到着する気満々である。
明らかに到着できないにも関わらず,勉強では本当にこういう事態が多く起こっている。
次に,質(やり方)とは何か。
これは,正しい理解をし,問題を正確に解けるようにすること。これは,以下の3つのステップに分けられる。
1.論点を正しく理解する
これは,自分の言葉で説明できるようになることを意味している。難しい専門用語を使わずに,他人に説明できるかを想像してもらうといい。このステップをおろそかにしている人が多い。これは,講義後に,再度テキストをしっかり読み込み,理解できていないところを一切なくす作業をしなければならない。
2.知識を問題と有機的に結合させる
これは,問題を解く際の留意点までもしっかり理解することを意味している。最終的に問題を解くことが目的である以上,単に知識をしているだけではなく,どのような問題が出題されるかを意識し,実際に問題を解く際に,どこに注意し,どのように解くのかを抑え込む。
つまり,実戦を想定して練習することと同義である。
これをおろそかにしている人は,答えを見ればわかるが,なかなか答練で点数が取れないということになる。
3.各作業を行う意味の本質を考える
なぜテキストを読み込むのか,なぜ問題集を反復するのか。
この,一つ一つの作業を行う意味の本質をしっかりと考えて実施することが大切。
テキストは,正確な理解ができているかを確認するために読み,定期的に知識の漏れがないかどうか確認するために読み込むことが必要である。
また,問題集は,知識が問題と有機的に結合できているか確認するために解き,定期的に反復することでその力を強化させるために解きなおす。
このような本質を一切考えずに,闇雲に3回転しても効果はあまり得ることはできない。
これは,ゴルフでいえば,何も考えずに,素振りを繰り返すのと同じ。
しっかりと目的を考え,質の高い反復を繰り返さなければいけない。
そのため,テキストは何回転すればいいですか?個別問題集は何回転すればいいですかという質問は愚問である。一般論として最低3回転ということは伝えられるが,2回転でも上記のことを習得すればそれでいいし,3回転でも上記のことを習得できなければ5回転することが必要。
本質を考え,何をすべきか,どういう目的を持って取り組むべきかは,論点ごとに変えなければいけない。
質の話は,奥が非常に深いので,今後ともブログで様々な角度から説明していきたいと思う。
そして最後に,合格したいのであれば,答練を必ず受けること!
なぜなら,答練こそが唯一の中間チェックポイントだからである。
今のやり方や量で正しいのかを定期的にチェックしなければいけない。
『合格する方は,大部分が答練をすべて受ける』
答練を受けない方は,先ほどの大阪の例でいえば,1日歩いたのに,方位磁針を確認せずに,まあ,方向はあっているかなと思い,進むのと同じぐらい愚かである。
必ず,大阪に歩いているときは,方向があっているかを確認するはず。
しかし,こと勉強になると方位磁石を一切確認せず,新潟や仙台にひたすら向かっている人が多い。そして,本番が近づいて,あれ,長野県にいる,まったく大阪に着く気配がないことに気づいてしまう。
こうなると手遅れである。
だからこそ,まずは,答練を必ず受け,合格点を取ることを目指す。
取れなければ,今までのやり方や量を改善する必要性を実感できる。
合格者の全員が,はじめからすべてうまくいっていたわけではない。
みな,答練を受け,壁にぶつかり,改善し,成長していっただけである。
皆さんが,正しい勉強方法と正しい量を実践しすれば,確実に合格できます。
だからこそ,正しい勉強方法と正しい量を実践することを大切にしてほしいと思います!!
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公認会計士に関する勉強方法や合格後の各キャリアの魅力など,色々書いていますので,勉強中の方も,これから学習を検討している方も,
是非読んでもらえればと思います。