ビジネスマンが,耳にタコができるほど言われている,または,言っている言葉に,
『自分の頭で考えろ!』
『もっと頭を使え!』
があると思います。
これは,結果を出すためには本当に大切なことなのですが,公認会計士の試験においても大きな力を発揮します。
では,公認会計士の勉強において,考える勉強とは,どういうものなのか。
今日は,このテーマで自分が想うことをお伝えいたします。
まず,結果を出すためには,以下のPDCAサイクルをぐるぐる回すことが求められます。
① 目標を設定する
② 現状を認識する
③ 現状になってしまっている原因分析を行う
④ 原因を解決させる解決策を設定する
⑤ 解決策を実行する
⑥ 検証する
公認会計士の試験であれば,①の目標設定,②の現状認識,⑤解決策を実行する,⑥の検証するという作業は比較的容易にできると思います。
目標は,最終目標は公認会計士試験の短期合格ですが,短期的な目標は,日々の答案練習で合格点以上の点数を安定的に取ることになると思います。
また,現状を認識することや,検証する作業も答案練習を本気で受けることで実施することができます。
また,改善策を立案できれば,それを実行するのは,決意さえあれば,可能だと思います。
そのため,大切なのが,
『原因を分析することと』
『解決策を考えること』
になると思います。
この時に,『考える』ということが重要になります。
原因分析を正しく行う。適切な解決策を立案するために,試行錯誤をしながら考えることが求められます。
では,『考える』際に,大切な視点は何なのか。
この問いに対して,自分は一つ上げるとすれば,
『仮説思考』
だと思っています。
仮説思考とは,現時点で自分なりの結論を持つことです。
つまり,なんとなく成績が向上しないなと思っているだけでは,なかなか問題は解決しないので,
原因は何か
その解決策としてはどのようなものが必要か
について,自分なりに仮説を立て,現時点での結論を出してしまうことです。
仮説を立てることのメリットは,以下のようなものがあります。
1.考えるようになる
まず,考えるようになるというメリットがあります。そんなの当り前じゃないかと言われるかもしれませんが,意外に人は考えないで行動しているものです。
テキストはどのように読み込むことがより効果的か
問題集はどのように解くことがより効果的か
テストの復習はどのような視点を意識すべきか
時間管理はどのように改善すべきか
優先順位の付け方はどのようにするべきか
すべて,そんなの考えていると言われてしまうかもしれませんが,急に問いかけられて,しっかりと自分なりに普段意識していることを説明できる人は少ないのではないかと思います。
なんとなく思っているだけでは,時間を使っている割には,実はほとんど考えていないのと同じになってしまいます。
長時間会議したのけど,実は何も決まっていないという状況と同じです。
ですので,仮説思考で結論を出しに行くことが,より考えることにつながると思います。
2.無駄な作業が減る
仮説をまったく立てないで,行動に移ると非常に無駄な作業が多くなり,不効率になってしまいます。
何かの本に書いてあったことですが,刑事コロンボは,事件が起こると
自分の中で犯人を仮説思考で決めています。
その上で,その仮説に基づいて,情報を集めていくことで,やみくもに情報を集めるよりも効果的に必要な情報を集めることができます。
勉強でも同じだと思います。原因分析や解決策をやみくもに実施するよりは,仮説思考で結論を出して実行する方がはるかに効率的になると思います。
3.仮説があっていたのか間違っていたのかが検証できるため,確実に前進できる
仮説を立てる次のメリットは,その仮説があっていたのか間違っていたのかが検証でき,確実に前進できることです。
仮に仮説が間違っていたとしても,それが間違っていたと判明したことは大きな収穫です。より正解に近づくために,これは違うんだとわかることはとても大切だと思います。
4.ノウハウが蓄積されていき,今後の勉強がどんどん効率的になる
勉強は継続していきます。だからこそ,仮説思考でどの原因が正しくて,どのような解決策が正しいのかが,徐々に判明していくだけで,新しく勉強する範囲で同じ失敗をしなくなります。
これは,3カ月後,1年後の勉強の効率を飛躍的に高める効果があります。
このように,仮説思考で,とりあえず現時点での結論を持って,行動し検証していくことはとても大切だと思います。
その際に,注意したほうがいいと思う点を列挙します。
1.仮説は具体的行動につながるように設定すること
いくら仮説を立てても,具体的な行動に結びつかないと意味がありません。ですので,必ず具体的なアクションに結びつくような仮説を設定することが大事です。
たとえば,勉強量が足りないという原因分析をしたとして,勉強量を増やそうという解決策を設定したとします。この場合に,勉強量を増やせる人は少ないと思います。
それよりは,具体的に一日2時間勉強時間を増やそう。
必ず答案練習までに2回転復習をしよう。
等の具体的アクションに結びつく目標設定をしないと,なかなか実行できなくなってしまいます。
2.表面的な問題だけを解決せずに,その問題が起こった原因を解決すること
表面的な問題だけを解決しに行こうとしても同じことがまた違う事例で生じるだけになってしまう可能性が高いです。そうではなく,なぜその問題が生じたのかの根本の原因を解決しに行くことが大切です。
たとえば,上記の勉強量が足りないという場合に,単に2時間増やそう,2回転勉強しようでは,解決しないことが多いです。
なぜなら,なぜその勉強時間を今まで確保できていなかったのかという事実を軽視しているからです。
復習の重要性が全く分かっていなかったのであれば,勉強時間を増やそうという決意だけで大丈夫なことも多いですが,今までも復習は大事とわかっていたのであれば,それでもできていなかった原因があるはずです。
たとえば,バイト・サークルが楽しいので,つい勉強が後回しになっていた。
テレビを見たり,ゲームをしている時間が長い。
復習しようとすると,つい,SNSや漫画を見てしまう。
勉強時間が確保できていない場合には,何らかの原因があるはずです。その原因を解決するような解決策を実行しない限り,決意は3日坊主で終わってしまう可能性があるので,注意が必要です。
また,答案練習で成績が想ったように出なかった場合に,解説講義や解説を見て,定着できていなかった知識を確認するだけで復習を終えてしまうのも危険です。
もちろん,定着できていなかった知識を復習するのは大切なのですが,なぜ,今回の答案練習までに定着できなかったのかという原因を考え,その問題を解決しに行かないと,次の答案練習でも同じ状況になってしまいます。
ですので,結果には必ず原因がありますので,表面的な問題を解決するだけでなく,根本の原因を考える癖も大切になります。
3.仮説を立てたうえで,経験者にアドバイスをもらうこと
仮説を立てたうえで,経験者である,我々講師や先輩に相談をすることも大切です。やはり,その道で自分よりも経験がある人にアドバイスをもらい,貪欲に吸収していくことは効果的です。
しかし,この時に,自分で考え,自分なりの仮説を立てたうえでということが大切です。
仮説を立てていないと,そのアドバイスが意味することを理解できなかったり,
どのアドバイスが正しいのかの判断もつかなくなってしまいます。
特に先輩等に聞く場合は,その人の経験に基づいてのみのアドバイスであるという視点を忘れないようにするべきであると思います。
たまたま,その人はそのやり方で結果が出ただけかもしれませんし,
もっといいやり方があるかもしれません。
結局,アドバイスを受けた場合には,その意味を考え,自分に適したやり方に落とし込むことで習得できると思っています。
そのため,しっかり自分の頭で考えたうえで,アドバイスをもらうことが重要になると思います。
考えて勉強する。一長一短で習得できるものではない。
また,完璧なレベルなど存在しないものでもある。
でも,日々自分の頭で考え,自分なりの結論を持って,取り組むことで確実に強化される力であると感じています。
筋トレと同じです。毎日1時間の筋トレを1年,2年続ければ,相当な筋肉がつくと思います。
考える力も,毎日1時間続けるだけでも,1年後には飛躍的に向上すると思います。
現時点で考える力がない場合には,単に今まで考えるトレーニングをしてこなかっただけですので,
これからトレーニングを積めば,何の問題もないです。
『できるか』『できないか』ではなく,
『やるか』『やらないか』の問題です。
だからこそ,
『自分ならどうするべきか』
という自分なりの結論を持つ習慣を大切にしてほしいと思います。
必ず自分の力になるはずです。