演繹法に基づく理解とは!

効率的に効果的に学習するために,正しい理解が欠かせない。

以前,理解については,

① 自分の言葉で言えること

② 全体像の理解から,具体的論点の理解へと落とし込むこと。

を説明してきた。

そちらは,下記を参照

今回は,より具体的に簿記を使って,正しい理解について説明していこうと思う。

まず,理解は,

 本質を理解すること。

 その本質の理解を各具体的論点に落とし込む。

 そして,その論理的な流れを自分の言葉で簡潔に言えること。

論理を自分の言葉で簡潔に言えるからこそ,自分の中で消化したことになり,正しく理解できたことになる。

その理解が深まることで,覚えることも楽になり,忘れづらくもなる。

また,本質の理解は,様々な論点に適用できるので,

『一を聞いて十を知る』という理想の勉強方法が可能となる。

これが,資格試験や受験勉強に求められる演繹法的な勉強方法。

では簿記の本質は何なのか。

1.会計の究極の本質を理解する


 会計の究極の本質は,

現金が増える→資本が増える

現金が減る→資本が減る

 

 つまり,それぞれの取引で,最終的にいくらの現金が増減するかに着目する。

その増減額だけ,最終的には資本の額が増減する。


これが会計の究極の本質!(当たり前だけど,すべての論点で意識すること大切)


2.複式簿記の仕組みを正確に理解する。

次に,複式簿記の仕組みを理解するうえでは,すべての取引を貸借対照表だけで考えてみることをお勧めする。

商品を60で購入した。  現金(資産)減少 資本減少

商品を100で販売した。 現金(資産)増加 資本の増加

結果,現金(資産)が40増加し,資本が40増加する

つまり,すべての取引は,実は貸借対照表で完結する。(当たり前だけど本当に大切)

その時に,損益取引に基づく資本の増減を表現するために,期中においては収益と費用を用いている。

これが損益計算書にすぎない。(当たり前だけど本当に大切)

商品を60で購入した。 現金(資産)減少  売上原価(費用)発生

商品を100で販売した。現金(資産)増加  売上(収益)

結果,現金(資産)が40増加し,利益が40発生する。そして,利益は,資本40の増加となる。

これが,複式簿記の仕組みであり,すべての取引に当てはまる。

3.上記,1・2を意識し,取引のイメージと,財務諸表に計上される金額を理解する

(1) 商品を100円で販売し,現金を受け取った。

お金が100増える・・・利益・資本の増加

貸借対照表 現金(資産)100増加  資本100増加

損益計算書 売上100発生

(2) 建物を10,000円で購入し,5年使用して,取り壊した。

お金が10,000減る・・・利益・資本の減少

貸借対照表 現金(資産)10,000減少 資本10,000減少

損益計算書 減価償却費10,000発生

この時に,もう一つ大切なのが,発生主義の考え方を導入すること。

購入時に10,000費用に計上するのではなく,使用する会計期間に配分し,適切な期間損益計算を行う。

そのため,現金をいったん建物という資産に交換したと考える。

貸借対照表 建物 2,000減少 資本2,000減少

損益計算書 費用 2,000発生

つまり,現金という資産を建物という資産に置き換え,毎年2,000ずつ,建物(資産)が減少しているという表現に直している。

これにより,貸借対照表の資産が毎年2,000ずつ減少し,損益計算書に費用が2,000ずつ計上するというのが減価償却の本質。

そして,建物の現在の価値(現金の残高といってもいい)が貸借対照表に計上されている。

(3) 車をリース料毎年2,000円で5年間リースした場合

お金が10,000減る・・・利益・資本の減少

 ① オペレーティング・リース

貸借対照表 現金(資産)10,000減少 資本10,000減少

損益計算書 支払リース料10,000発生

上記を,毎年2,000ずつ5年間に配分しているだけ。

 ② ファイナンス・リース


まず,貸借対照表に取得原価9,000をリース資産とリース負債(未払金)として計上する。

貸借対照表 車  9,000増加 未払金9,000増加

その上で,リース資産は,減価償却の考え方で,1,800ずつ5年間で費用に計上する。

貸借対照表 車   1,800減少 資本1,800減少

損益計算書 費用 1,800発生

残りの1,000は,支払利息として,5年間で費用に計上する。

貸借対照表 現金   200減少 資本200減少

損益計算書 費用   200発生

未払金9,000は,購入代金の未払いに過ぎないので現金で支払うだけ。

貸借対照表 現金  9,000減少 未払金9,000減少

このように,すべての取引について,取引をイメージし,財務諸表に計上されている金額が何を意味しているのかを,簡潔に説明できるようにする。

4.最後に,具体的金額の算定方法や仕訳を押さえる

上記の様に,会計の本質,複式簿記の仕組み,財務諸表に計上される金額の結論を自分の言葉で正確に説明できるようにする。

そうすることで,全体像に基づく骨格の理解が論理的に流れるようになる。

そして,全体像からの論理的理解を強く意識しながら,具体的な金額の算定方法や仕訳を押さえるようにすると,本質の理解が反復され強化されつつ,論理的に抑えているので,各論の内容もしっかりと理解しやすくなる。


 

これが,演繹法的な理解である。

演繹法的に,全体像の本質から,理解を論理的に流すことで,具体的事象に本質の考え方を当てはめることが可能になり,すべての具体的事象に,当てはまることがわかる。

これこそ,『一を聞いて十を知る』という,理想的な理解の仕方であると思う。


 学生の方から質問を受けるほとんどは,4.の具体的内容でる。

しかし,そのほとんどが,上記1.~3.の理解が弱いこと・または,理解はしているが,その視点を一切忘れていたことに起因している。

こちらが,説明で,1.~3.の前提を説明すると,4。は説明してなくても自分で解決してしまうこともある。 つまり,1.~3.を理解していないというよりは,普段の勉強しているときに意識がいっていないだけのことも。

これは,正しい勉強方法ではない。

このように,根本の理解から落とし込まない勉強方法は,帰納法的な勉強方法になっている。

帰納法とは,具体的事象から,原理原則を導き出す考え方。

具体的仕訳や問題演習から理解をして行こうとするのが,帰納法。

ニュートンが万有引力の法則を導き出したのは帰納法。

リンゴが落ちるのを見て,すべての物と物は引き寄せあうという原理原則を発見した。

確かに,新しい発明,発見をするときには,帰納法が求められる。

そして,帰納法は,ひらめきといったたぐいのセンスが必要になることも多い。

しかし,資格勉強や受験勉強は,自ら大発見をする必要は一切ない。

既に存在している,知識を正確に理解し,効率的に習得することが求められる。

これは,独創力は必要なく,論理的思考力,問題発見能力,読解力等が求められているに過ぎない。

これらの能力は,正しい訓練で養うことができる。

だからこそ,全体像から,原理原則を正しく理解して,各論に落とし込むように意識してほしい。


また,演繹法的な学習ができている学生は,どんどん成績も上がっていき,短期合格を果たしている。

だからこそ,簿記の本質や複式簿記の本質は,最低限の前提として,

各論点ごとに取引のイメージや財務諸表論の結論の金額を自分の言葉で簡潔に説明できる状態を目指してほしい。

 

 上記内容は,簿記の個別論点にはすべて適用できます。

他の科目や,簿記の構造論点についても,後々しっかり演繹法的な学習方法を説明していきます。

 

 

 正しい,演繹法を身に付ければ,勉強の効率は飛躍的に上昇すると信じています!

 

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