公認会計士試験 12月短答後の財務理論(財務諸表論)の学習アドバイス

今回は、東京CPA会計学院の財務会計論主任講師の

『佐藤大輔』先生に、12月の短答式試験後のこれからの財務諸表論の勉強方法について書いていただきました。

是非、財務理論の学習方法の参考にしてほしいと思います。
(今後もちょくちょく他の先生にも記事を書いてもらう予定ですので、楽しみにしてください!)

1.論文対策について

(1)論文式試験における配点

論文式試験では,第3問~第5問のいずれの問いでも,財務諸表論の問題が出題されています。簿記と財務諸表論の配点は公表されていませんが,解答用紙を見る限りですと,これまでは財務諸表論が約140点分出題され,また昨年度に関しては約110点分出題されていると推察できます。

つまり,論文式試験における財務諸表論に対する配点は,他のどの科目よりも高いといえるので,この財務諸表論でいかに点数を稼ぐか,これが会計学の偏差点を上げる上で,非常に重要といえます。

 

(2)論文式試験における出題論点

直近7回分の論文式試験で出題されている内容と出題回数を,以下にまとめてみました。

財務①

 

このデータからもわかるように,財務諸表論の問題の大半は「会計基準のある論点及び概念フレームワーク」から出題されています。また,直近7回分では出題されていませんが,「株主資本等変動計算書」「会計上の変更及び誤謬の訂正」「包括利益会計基準」「四半期会計基準」あたりの論点はいつ出題されてもおかしくない論点であるため,これらについても重要論点については,対策をとっておいた方が良いと考えています。

 

また,問われる内容は,「なぜそのような会計処理を行うのか」や「なぜそのような表示を行うのか」といった会計処理や表示の理由,根拠が中心となっています。逆に,会計処理や表示の結論についてはあまり問われません。これは配布法令基準集に記載があるので,当然だと思います。

 

(3)具体的な論文対策

上記から論文式試験でよく出題されるのは,「会計基準がある論点」で,かつ「会計処理や表示の理由,根拠」であるため,普段の自習の過程においてもこの点を意識するようにしてください。

例えば,「テキストにある文章のうち,会計処理や表示の根拠や代替的な考え方(自己株式の資産説等)についての記述は目立たせて,この部分を覚える」「テキストにある文章のうち,会計処理や表示の結論についての記述はさらっと読むだけにする」等の工夫をしながら学習すると,より効率的に実力を上げることができると思います。

 

また,今後の勉強過程で簿記において様々や会計処理を行い,その結果を表示に反映させると思いますが,この際にも「なぜこのように会計処理するのか」「なぜこのように表示するのか」ということを考えることで,財務諸表論の実力も飛躍的に上がっていくと思います。つまり,簿記と財務諸表論を相互関連付けながら学習することがポイントだと思います。

 

(4)使用する講義・教材

論文対策としては,基本的に上級講義(基本的に,会計基準のある論点+概念フレームワークのみ)を受講した後は,テキストの読み込みを反復することで,知識定着及び文章の記憶力の向上を目指すことが重要といえます。

また,上級答練,直前答練及び論文式模擬試験で出題され,かつテキストに記載ない論点(より発展的な論点)についても,テキスト同様,反復的に読み込むことをお薦めします。

 

 

2.短答対策について

(1)短答式試験における配点

直近3回分の傾向を見てみると,12月短答式試験では財務諸表論の配点は88点,5月短答式試験では104点となっています。以前の短答式試験では財務諸表論の配点は68点~80点だったので,近年の財務諸表論の配点は増加傾向にあります。

 

(2)短答式試験における出題論点

直近7回分の短答式試験で出題されている内容と出題回数を,以下にまとめてみました。

財務②

(※) 会計基準,損益会計,負債会計は,出題回数は一見多いですが,その出題内容は非常に多岐に渡っています。例えば,会計基準に関する出題としては,我が国の会計基準,会社法,IFRS等,非常に幅広く出題されているので,具体的な対策を講じるのが難しいといえます。

 

 

このデータからもわかるように,財務諸表論の問題の大半は「会計基準のある論点及び概念フレームワーク」から出題されています。また,これ以外では,資産会計(主に固定資産)に関する論点が多く出題されています。

 

 

(3)具体的な短答対策

上記から短答式試験でよく出題されるのは,「会計基準がある論点+概念フレームワーク」です。また,結論を変えてひっかけるというパターンが非常に多く出題されている傾向にあります。つまり,「会計基準がある論点+概念フレームワーク」で,かつ「会計処理や表示の結論」を覚え込むことが短答対策としては,非常に重要となります。

例えば,「テキストにある文章のうち,会計処理や表示の結論についての記述は重点的に読み,覚え込む」「テキストにある文章のうち,会計処理や表示の根拠や代替的な考え方(自己株式の資産説等)についての記述はさらっと読む」等の工夫をしながら学習すると,より効率的に実力を上げることができると思います。

 

ただし,5月短答受験生は5月の短答式試験合格後,8月の論文式試験の合格も狙いに行く必要があります。この点を考慮すると,多少負担は重くなりますが,ある程度短答5科目のバランスが取れている受講生ついては,短答対策と並行して論文対策をも行うという趣旨で,「会計処理や表示の結論」のみならず,「会計処理や表示の根拠や代替的な考え方」についても意識的に読むことで,論文の力も同時に引き上げることが可能といえます。

 

また,財務諸表論で得た「会計処理や表示の結論」の知識をうまく簿記に生かせるように意識することも重要です。

仮に,財務諸表論において「資産除去債務の算定において用いる割引率は,無リスクの税引前の利率となる」という知識を得たとしても,これをうまく簿記に生かし切れていない受講生は非常に多いのが現状です。例えば,簿記の問題として資産除去債務の問題が出題され,その指示の中に割引率に関するデータが以下のように与えられていたとします。

 

1.リスクを加味し,かつ税引前の利率:6%

2.リスクを加味し,かつ税引後の利率:3.6%

3.貨幣の時間価値のみを加味し,かつ税引前の利率:2%

4.貨幣の時間価値のみを加味し,かつ税引後の利率:1.2%

 

この時に,「3.」の利率2%を選択して,資産除去債務を算定できる,これこそが財務諸表論で得た知識を簿記に生かしていることだと言えます。財務諸表論で得た会計処理や表示の結論に関する情報は,必ず簿記で活用できるため,常に簿記の問題で出題された場合を想定して,日々学習するようにしてください。

 

(4)使用する講義・教材

短答対策としては,基本的に圧縮講義を受講した後は,短答問題集を必ず2回転してください。2回転して得た新たな知識やひっかけのポイントは,すべてテキストに一元化していきます。その後は,様々な情報が一元化されたテキストの読み込みを反復することで,知識定着及びひっかけポイントの押さえこみを図ることを目指してください。

 

佐藤講師の他のブログ記事はこちら
http://cpa-net.jp/category/instructor-sato

財務会計論の各種教材はこちら
http://www.cpaonline.jp/

 

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