8月の公認会計士論文式本試験まで、残すところ5か月弱。
これから4か月以上も自習期間があるので、これからのやり方次第で、合格する可能性を大きく高めることが可能です!
今の時期は論文式模擬試験も終わり、8月までにどのように計画を立てていいか悩んでいる方も多いと思います。
ですので、今日は8月の論文式に向けてのアドバイスを書いていきたいと思います。
いつも相談を受けた時には、絶対に今年の合格を信じて、やれることをやりきってほしいということを伝えています。
仮に、今年の論文式で不合格だったとしても、正しい学習方法を実践すれば、来年の論文式は90%以上の確率で合格できると思います。仮に科目合格を獲得した場合には、その確率が95%以上等には高まると思いますが、その何倍も、今年論文式試験に合格するメリットの方が大きいはずです。
そして、論文式本試験は、短答式試験合格者に限定すれば合格率が40%以上ある試験です。これだけの合格率がある試験なので、絶対に気持ちで負けないでほしいと思います。
その上で、残りの期間での勉強の効率を上げるためには具体的に何をするべきかについて、説明していこうと思います。
以下の具体的アドバイスは、すべて、論文式本試験で1点でも多くの点数を取ることを目標にしているという意識は強く持ってください。
1.バランスと優先順位を明確に
バランスと優先順位を大切にする。バランスは苦手科目、苦手論点を作らないこと、優先順位は本試験での出題可能性を徹底的に把握することです。
すべての論点を合格点取れることが理想ですが、時間に制限があるので、本試験で出題可能性が高い論点から順番に合格点を取れるようにしてほしいと思います。
これからの時期の科目間の配分は、
大きく簿記・管理会計 合わせて1日1時間~2時間
財務諸表論・監査論・企業法 各科目1日1.5時間~2時間
租税法 1日1.5時間~2時間
経営学 1日0.5時間~1時間
合計 7.5時間~11時間
ぐらいが目安だとは思います。
もちろん、科目ごとの現在の実力によって、配分は変わりますがあくまで一般論では上記なようになります。また、一日に多くの科目をやるか、少ない科目を集中してやるかは、個人差で構いませんので、自分が集中しやすい方法を採用してほしいと思います。
優先順位は、本試験でどれだけ出題される可能性があるのかを考え、より出題範囲の高い論点から優先的につぶしていくことが大切です。
ここまでの、論文式本試験で1点でも多くの点数を取る。バランスと優先順位を意識する。そんなことは分かっているんだよという方がとても多いと思いますが、
それを徹底的にやれている方は、少ないと思っています。
特に5月に短答式に合格し、8月の論文を受けようと思っている方や
なかなか論文式の点数が伸び悩んでいるなと思う方が、
これからの期間で実力を大きく高めるためには、どれだけ徹底できるかどうかにかかっています。
では、1点でも多くの得点を取るために、バランスと優先順位を徹底するとはどういうことなのでしょうか。
2.投下時間当たりの獲得点数の期待値を最大限高めること
その答えは、投下時間当たりの獲得点数の期待値を最大限高めることを徹底することになります。
理論的には、残り130日で1日2点高めることができれば、260点あげることが可能です。
素点で700点満点中、350点程度取れれば合格できる可能性が高いことを考えれば、260点上がれば誰でも合格できます。
この時に大事なのが、
論点の『習得にかかる時間』×『上がる点数』×『出題頻度』をしっかりと勘案して、期待値を徹底的に高めることを目指すことです。
たとえば、企業法の論証10個の範囲をしっかりテキストで復習し、文章まである程度覚えるのに1日かかるとしましょう。
この場合、習得にかかる時間は10時間
上がる点数は、20点から35点に15点上がるとしましょう
その時に、1日の学習で15点上がるのですが、その点の出題頻度も重要です。
つまり、その10論点が3年に一度ぐらいの頻度で出題されるのであれば、期待値として5点
10年に1度ぐらいの頻度であれば、期待値として1.5点となります。
同じ労力でも、期待値には3倍以上の差があります。
また、簿記の退職給付会計はほぼ毎年か2年に一度は出題されるため、退職給付会計の復習に1日費やした場合に、配点が6点から8点あるのであれば、期待値は、3点から8点の間になります。
対して、組織再編は、3年に1度ぐらいの頻度で出題されますが、復習に2日ほど要すると思います。かつ、出題された場合にも必ず得点できるとは限りません。
そのため、配点が10点あったとしても、3年に一度、2日かかる、得点できる可能性が50%とすると、1日当たりの期待値は、10点÷3年÷2日×50%=0.8点程度の期待値とも言えます。
逆に、組織再編の中でも基礎的なところや特に多く出題される事業分離だけを復習すれば、配点は半分になるかもしれませんが、半日で習得可能、出題されたら確実に取れることを考慮すると
1日当たりの期待値は、5点÷3年÷0.5日=3.3点の期待値とも言えます。
ですので、章ごとの優先順位も大事ですが、章の中の論点についてもコストベネフィットを最大限考慮した優先順位が大切になります。
会計士に出題される範囲を10とすれば、重要な3から4の範囲から、多くの配点が出題されます。
簿記で言えば、
連結会計(改正論点以外)
在外子会社
キャッシュフロー計算書
組織再編(基礎部分)
が構造論点として重要性が高い論点であり、
金融商品会計
外貨建取引
退職給付会計
株式会社会計
減損会計
資産除去債務
などが、個別論点では重要性が高い論点なので、その中でも良く出題される論点を徹底的にまずは復習することで期待値が高くなります。
このように、全科目、全章、全論点について、徹底的に期待値を考慮して、何から対策をするべきかを意識する。これを全科目のバランスを取り、優先順位を付し、一番期待値の高い対策から順番に行っていくような感覚を持ってもらえればと思います。
かつ、一番効果の高い論点からガシガシこなしていくことを意識してほしいと思います。
この、限られた時間の中で、やりたいことがすべて当然に終わらない状況の中で、効果の高いものを選び抜く力と養うことは本当に大切にしてほしいと思っています。
すべてをやりきる時間がある時は結果を出せるけど、すべてがやりきれない中でベストを尽くすのが苦手な人は、社会に出て、混乱に陥る可能性が高くなります。いわゆる、勉強はできるけど仕事は。。。。となりかねない。
なので、悩むこともいろいろあると思いますが、投入時間当たりの期待値をとことん意識して、頑張ってほしいと思います。
これからの期間は、そのことを最も強く意識して、バランスと優先順位の判断をしてほしいと思っています!
3.理解強化は6月末まで
理解を強化する期間は遅くとも6月末までです。
現状で、苦手科目や苦手論点があるのであれば、まず6月末までに、他の科目とのバランスに注意しながら強化しましょう。そして、7月・8月はひたすら結論と文章の定着に特化してほしいと思います。
4.理論科目の文章は内容があっていることを意識する
理論科目で特に重要なのは、文章の精度よりも、内容が間違っていないということだと思います。
まず問われている問いに対して、正しい内容を書けるように意識して学習してほしいと思います。文章の精度が低いことによる減点は受け入れ、まず正しい内容を書けるようにしましょう。
配点の半分の点数をすべての問いでとることを目標にしてもらえるといいと思います。
そのためには、ロジックの理解と結論の暗記が何よりも大切になります。
その点を6月末までに意識して学習し、7月8月で文章の精度をできる限り高めていくという方針でいいと思います。
その結果、本試験当日に、重要性の高い論点は文章の精度も高まっている。重要性の低い論点は内容は正しいことが書ける状態を目指してほしいと思います。
5.実力の維持をするための時間だけは確保する
強化する科目以外の科目や論点について、数カ月触っていなかったので、大きく実力が下がってしまうことがないように周囲してほしいと思います。
1週間に1時間でも触るだけで維持できるものも多いです。その時間を省略して大きく実力が下がってしまってから元の実力に戻すのは結構時間がかかります。
そのため、効率的に学習するためにも、維持する時間を確保した中で、他の科目や論点の強化を図るようにすることがお勧めです。
6.まとめ
長々書いてきましたが、
今年の論文式本試験に絶対に合格するという強い気持ちを持って、
バランスと優先順位を意識し、コストベネフィットを徹底的に高めるように学習してほしいと思います。
合格目指して、やれることをやり抜いて行きましょう!!