適切な質問力を養う5つの視点!(公認会計士試験編)

公認会計士の学習をしていると、多くの質問が出てくると思います。

私も教える立場として、日々様々な質問を受けます。

 

質問を受けながら、

より勉強の効果を高め、結果を出すために、

いい質問内容、いい質問の仕方があるなと思っています。

 

特に、論点をしっかりと整理しやすくするための質問や、
大事な視点の確認をしてくる質問はいい質問だなと感じます。

 

逆に、その質問や質問の仕方では、

あまり役に立たないんだよねと思ってしまう質問もあります。

 

この適切な質問力というものは、公認会計士試験に合格した後のビジネスや私生活でもとても重要なものだと思いますので、今回は、公認会計士の学習をテーマに、いい質問とは何か、いい質問の仕方とは何かについて、私見を述べたいと思います。

 

では最初に、いい質問、いい質問の方法とは何を達成する状態を意味しているのかの共通認識を持ちたいと思います。

私が思ういい質問やいい質問方法とは、以下のようなものだと思っています。

 

質問者にとって、目的を達成するために本当に必要なことが明確になること。

その回答を回答者から適切に引き出せること。

 

では、どうすれば、上記目的が達成されるのでしょうか。以下では、良くない質問を例に、良い質問の仕方を考えていきたいと思います。

 

1.質問が抽象的である

まず、最初の例は、質問が抽象的過ぎて、回答者が答えようのない質問である。

例えば、

・会計士に短期で合格するためには、どうすればいいですか。

・簿記を得意にするにはどうすればいいですか。

・理解が弱いのですがどうすればいいですか。

などの質問が、抽象的な質問の代表例になります。

 

上記のような質問に、とりあえず回答することは可能です。あくまで一般論を述べる感じになります。

上記のような質問は、野球に例えると

・甲子園に出たいんですが、どうすればいいですか。

・バッティングを良くしたいんですけどどうすればいいですか。

・どうしてもエラーが多いのですがどうすればいいですか。

という感じの質問と言えます。

 

いざ、野球の例で自分が回答しようとすると、なかなかどこから説明していいのかわからないと思います。

一時間などの面談をしていて、じっくり口頭で色々お伝えできる場面であれば、まだ抽象的な質問にも順を追って色々説明できるのですが、

メールやSNS等で質問を受けた場合、抽象的な質問に対しては、あまり意味のある有意義な回答を行うことは困難になってしまいます。

 

なので、もう少し具体的な質問にしてもらえると、より有効なことを伝えやすくなります。

簿記を得意にしたいというのであれば、

・問題集を1回目に解くときと2回目以降に解くときに意識した方がいいことは?

・理解の強化について、講義を受けるのと自習することのメリットデメリットを教えてほしい?

・簿記について反復教材の選び方で注意すべき視点は何ですか?

・簿記について、今後2か月の短期目標はどこに設定するのがお勧めか?

ぐらい、論点を絞っていただいた方が、より有効な回答がしやすくなるという認識は大事にしてほしいと思います。

 

【重要ポイント】

・質問は抽象的過ぎるとよくない(できるだけ具体的に)

 

2.質問が具体的ではあるが表面的な解決策を求めている

次に良くない質問が、質問内容は具体的なのであるが、表面的な解決策を求めていて、根本的な改善につながらない質問が挙げられる。

・短答問題集は何回転すべきですか
・重要性C論点は全部切っていいのですか

・一日何時間勉強すべきですか

などが、表面的な解決策を求めている質問の例と言えます。

 

つまり、上記のような質問は、今ご自身が抱えている課題の根本解決に繋がらない、表面的な対応策の質問になります。

そのため、上記質問に対して、形式的な一般論的な回答をしても、大きな成果に繋がりにくいと言えます。

言い換えると、釣った魚をください。魚が沢山いる場所を教えてくださいと同じような質問で、

魚の釣り方を教えてください、魚の沢山いる場所の探し方を教えてくださいという質問ではないという意味です。

 

つまり、重要性一つにとっても、

そもそも重要性とは何なのか。それに基づいて、Aランク・Bランク・Cランクの考え方は何なのか。科目の性質の違いは何か。

そういう大きな視点を確認し、その上で、どの科目のどのランクまでは理解を強化するのか、定着だけにするのか、そもそもその論点を切るのかをご自身の状況と勘案して決定することが重要です。

そうすることで、今後勉強が進んだ時にも、ご自身で、勉強計画を適切に修正できる力が養われるのですが、そういう大事な視点を押えずに、なんとなくC論点は全部切ろうでは、考えないで学習をしてしまうので、勉強の成果は低くなってしまいますし、疑問点について解決策を自分で考える視点が弱いので、毎回具体的疑問が出るたびに質問しないといけなくなります。

これでは、自習中の一つひとつの判断もずれてくる可能性が高いですので、表面的な解決策ではない、そもそも大事にしないといけない視点は何かという点をまずは考え、その上でより質問を具体化してもらうといいと思います。

 

これは、論点の質問でも同じことが言えます。連結会計の具体的論点の質問でも形式的な回答を求めると、そもそも連結会計の考え方や、重要な視点に意識がないので、質問に回答しても、また他の論点で同じ原因で質問を繰り返すことになります。

そのため、連結会計のある論点が理解できないのであれば、

仕訳やタイムテーブルの解き方など技術論の質問ではなく、そもそもどういう考え方が抜けているから理解が弱くなっているのかという視点を質問し、他の論点の学習にも活きる知識を学ぶ意識は大切にした方がいいと思います。

 

【重要ポイント】

・釣った魚ではなく魚の釣り方を学ぶ意識(なんでも正解を教えては良くない)

・本質的な視点を学べる質問の仕方が大事

 

3.ご自身の状況を伝えていない

次にあげられるのが、ご自身の状況を伝えていない質問です。

仮に簿記を得意にしたいという抽象的な質問でも、

・勉強を開始して、まだ間もない方なのか。

・一度受験経験はあるのか。

・経験者用の講義も見直したことがあるのか。

・どのような学校で学習経験があるのか。

・勉強に専念できるのか、お仕事をされながらなのか。

・受験目標はいつなのか(短答向けなのか、論文向けなのか)

など、少しでもご自身の状況をお伝えいただいた方が、より適切なことが回答できます。

つまり、目標が会計士試験合格であっても、一人ひとりおかれている現状が違うので、目標への到達の仕方も変わってます。なので、まずは現状を正確にお伝えいただくこともとても大切な視点の一つになります。 

そのため、急に、DMで、簿記を得意にするにはどうすればいいですか?

と聞かれると、本当に回答に困ります。

 

有効な回答を引き出すためにも、なるべくご自身の現状は説明したいただく方がいいと思います。

 

【重要ポイント】

・現状を回答者に伝えることで、現状から目標への適切な回答を引き出しやすい

 

4.自分であまり考えていない

次に、質問する前にご自身でほどんど考えていない場合が挙げられます。御自身でほとんど考えていないので、質問が抽象的になったり、表面的な解決策になったり、解説の計算式とにらめっこしていたりという質問になりやすいと思います。

魚の釣り方や、魚の沢山いる場所の見極め方の回答を求める場合には、同じ回答を聞いても、それまでにご自身で考えていたのかどうかで、理解度や吸収力が変わると思いますので、

まずは、質問する課題に対して、何を解決すれば根本解決になるのかという視点を一度5分でも、10分でも考える意識は大事にしてから、質問を行う習慣をつけるといいと思います。

 

より理想形は、

論点の質問なら、自分なりに具体例を考え、こうなるはずなんですがなんで違うんですかという自分の仮説を持ってくる。また、解法とにらめっこして木を見て森を見ずになってはいけないので、そもそもその論点はどう解くべきか、どう考えるべきかという大きな視点から考えるようにする。

勉強方法などの質問であれば、表面的なやり方・技術論の確認ではなく、一つひとつのやり方のメリットデメリットを考え、自分なりにはこのような理由で、こうするべきかと思うんですが、どうですかというように持論を持ってから質問するなどがお勧めです。

 

【重要ポイント】

・自分なりの仮説や論拠を持ってから質問する

 

5.回答者が答えたくなる聞き方をする

私が言うのもなんですが、回答者も人間です。

1聞かれた時に1しか答えないのか、23も色々答えるのかは状況によって変わってしまいます。

回答者がどんなに忙しくても、より多くを回答したくなるような聞き方、質問の仕方も大事だと思います。

 

また、より質問者の現状が把握でき、具体的な、本質的な質問ほど、しっかり答えたくなりますし、本人が随分考えてきたなという質問ほど、しっかり答えたくなります。

より意味のある回答を引き出すためにも、色々な視点から、回答者がしっかりと答えたくなる質問の仕方も意識してほしいと思います。

 

【重要ポイント】

・回答者がしっかり答えたくなる質問の仕方をする

 

以上、長々書いてきましたが、

 

質問者にとって、目的を達成するために本当に必要なことが明確になること。

その回答を回答者から適切に引き出せること。

 

という質問することの目的を達成するためには、

 

・大きな視点から落とし込みながら、可能な限り具体的に質問する。

・表面的な回答を求めるのではなく、そうする論拠や考え方を学ぶ意識を持つ

・自分の現状を正確に伝え、適切な回答を引き出す

・自分なりに一度持論や仮説を構築してから質問する

・回答者がより答えたくなる質問の仕方も考える

 

などを意識して質問することが大切だと思いますので、是非実践してみてください。

 

最後に、

色々述べてきましたが、最初から上手な質問などできなくていいです。

何がわからないかも分からないから教えてください。

簿記をどう勉強したらいいのか全く分からないので教えてください。

など、最初は、わらにもすがる気持ちで質問してもらってもいいと思います。

 

ただ、その場合にも、長期的には、よりいい質問の仕方ができるように意識し、徐々に質問内容や質問の仕方が、学習の効率を高めるものに近づいていくことを大切にしてください。

 

誰でも最初は何もわからないです。

私も会計士試験を始めたころは何もわからず先生に質問しまくっていました。

 

そこを恥ずかしがる必要も遠慮する必要もありません。

 

たくさん質問して、徐々にいい質問が増え、勉強の効率が上昇し、合格を勝ち取ればそれでいいのです。

 

是非、質問をたくさんして、より早く合格を勝ち取ってほしいと思います。

 

 

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コメント

  1. トララ より:

    国見先生初めまして。先程は挨拶もなく突然、メールを送り申し訳ございませんでした。

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